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『脳梗塞/脳障害』に関する論文

『急性脳梗塞患者に対する水素ガス吸入療法の安全性に関する基礎的研究』

〔学術雑誌名〕Med. Gas Res. 2012, 2:21 doi:10.1186/2045-9912-2-21
〔表題〕A basic study on molecular hydrogen (H2) inhalation in acute cerebral ischemia patients for safety check with physiological parameters and measurement of blood H2 level(訳:急性脳梗塞患者に対する分子水素吸入治療の安全性テェックのための生理的パラメーター及び血中水素濃度の測定に関する基礎的研究)
〔著者〕H. Ono et al(西嶋病院、ピッツバーグ大)
〔概要〕動物実験において分子水素は種々の臓器の虚血再環流障害、移植組織の保全性、外傷並びに手術による傷害、腸や肺の炎症等多岐にわたる疾患の予防改善作用が報告されその安全性も確認されている。しかしながら、臨床において脳虚血患者は老齢者が対象となりH2処理に際して適応される患者における安全性情報が必要である。本報ではこれらの患者に対するH2吸入処理の可能性試験としてH2吸入後のH2の体内搬送及び血中濃度の測定を実施した。
〔方法〕動脈血及び静脈血中のH2濃度は3人の患者に対してそれぞれ4%及び3%H2ガス吸入の前、中、後にガスクロマト法で測定し同時に生理的パラメーターも測定した。データの一貫性を確認するため10人の患者の静脈血中の水素濃度を吸入30分終了直後に測定した。
〔結果〕血中の水素ガス濃度はH2吸入後20分で平衡に達しそのレベルは動物実験で報告されている濃度と同レベルであった。水素吸入を中断すると血中水素濃度は急速に減少し、動脈では6分、静脈では18分で平衡値の10%に下がった。3人の患者の生理的パラメーターは水素処理によっても変わらなかった。10人の患者での確認試験においては30分吸入処理後の水素濃度はばらつきがあったがより注意深く操作することにより改善が見られた。
〔結論〕少なくとも3%濃度の水素ガスを吸入すると30分後の血中には動物実験で報告されている濃度と同等の十分なH2が得られることがわかり安全性の点でも問題はなかった。しかしながら、吸入によるH2の運送にはさらなる改善が必要であろう。

『水素水はヒト脳梗塞において既存薬との併用効果がある』

〔学術雑誌名〕Med. Gas Res. 7 June (2011)
〔表題〕Improved brain MRI in the acute brain stem infarct sites treated with hydroxyl radical scavengers, Edaravone and hydrogen, as compared to Evalavone alone. A non-controled study.(訳:ヒト急性脳梗塞の臨床試験においてヒドロキシラジカル捕捉剤である脳保護薬Edaravone単独とEdaravone+ 水素併用の効果をMRI指標で比較した。
〔著者〕H. Ohno et al(西島病院、防衛医科大学)
〔概要〕急性脳梗塞をMIR指標で評価する場合、初期の山波(rDWI)と谷波(rADC)及び治癒日数(梗塞はあるが擬似的な自然治癒日数)により治療効果を判定する。急性脳梗塞に対する薬物療法として臨床的には活性酸素のヒドロキシラジカル(OH・)捕捉剤である脳保護薬のEdaravoneが用いられるが本試験においてはEdaravone単独投与群(E群)とEdaravone+水素豊富水投与群(EH群)を上述の評価法によって比較した。E群は26人の患者で常用量を午前6時と午後6時の2回静注によって投与した。EH群はその後8人について午前10時と午後4時に水素豊富水を静注投与によって追加し7日間試験した。その結果E群に比べてEH群では明らかに水素水併用効果が認められヒドロキシラジカル(OH・)捕捉剤である水素の追加効果が確認され、ヒドロキシラジカル(OH・)捕捉剤は投与間隔と投与回数を増やした方が治療効果が上昇する事が示唆された。本試験は、予備的な臨床試験であるが今後さらに臨床試験を継続実施する意義が有るであろう。

『水素水は自閉症に有効か?』

〔学術雑誌名〕Med. Gas Res.., 2012, 2:19 doi:1186/2045-9912-2-19
〔表題〕Physical exercise and intermittent administration of lactulose may improve autism symptoms through hydrogen production.(運動と間欠的ラクツロースの投与により水素の産生を介して自閉症症状が改善される)
〔著者〕A. Ghanizadeh.(Shiraz大医科学、Iran)
〔概要〕イランの学童のスクリーニング調査では約1.9%が自閉症の評価基準に該当する。自閉症は神経発達の不全によるものである。自閉症に罹患している子どもには酸化ストレスが亢進している者が多くみられる。分子水素は抗酸化作用を介して多くの疾患の治療や予防に有効であることが報告されている。人工的合成糖であるラクツロースは腸内で代謝を受けず、腸内細菌に作用して水素ガスを産生することが知られており、このラクツロースや水素水の投与によって自閉症の酸化ストレスを軽減する分子水素を供与できることから本症に対する有用性が期待される。

『水素水は一酸化炭素中毒で起こる神経障害を軽減』

〔学術雑誌名〕Crit. Care Med., 2011 Apr.; 39(4):765-9
〔表題〕Hydrogen -rich saline reduces delayed neurologic sequence in experimental carbon monoxide toxicity.(水素豊富水はラットの一酸化炭素中毒で起こる遅発型神経障害を軽減する)
〔著者〕Q. Sun et al.(上海第二軍事大)
〔概要〕本研究では重篤な急性一酸化炭素(CO)中毒による遅発性の脳神経障害に対する水素水(H2)の腹腔内投与による効果を検討した。成獣ラットに1000 ppm COを含む空気を40分間、さらに3000 pppmを20分間与えて昏睡させた。水素豊富生理食塩水と通常の食塩水(10ml/kg)をそれぞれ蘇生後に0, 12, 24, 36, 48, 60時間後に計6回投与して2群間で水素の効果を比較した。脳組織の炎症度、細胞死、認知機能障害を中毒処置1週間後に調べて評価した。その結果水素豊富食塩水は通常の生理食塩水に比較して生化学的、組織化学的評価並びに水迷路法による認知行動機能を改善することが認められた。これらの結果から水素含有生理食塩水は重篤なCO中毒による遅発性の神経障害患者に対して新たな代替療法となりうる可能性が示唆された。その効果は抗酸化、抗炎症作用によるものと推察される。

『水素添加生理食塩水のラットの脳神経保護作用』

〔学術雑誌名〕Medical Gas Research 2011,1:15
〔表題〕Hydrogen saline offers neuroprotection by reducing oxidative stress in a focal cerebral ischemia-reperfusion rat model(水素添加生理食塩水はラットの限局的脳虚血再還流モデルにおいて酸化ストレスを抑制する事により神経保護作用を示す)
〔著者〕Y. Liu et al.(上海軍事大学他)
〔概要〕水素ガス(H2)は脳虚血モデルにおいて神経保護作用を示す事が報告されている。本報では中央脳動脈閉塞モデル(MCAO)を用いて、臨床的に容易に且つ安全に使用できる水素添加生理食塩水の脳神経保護作用について検討した。SD系雄性ラットを偽手術群、MCAO+水素食塩水群、MCAO群の3群に分けて、ラットを90分動脈閉塞後24時間再還流処置して各群の作用を比較した。水素生理食塩水は1ml/100g体重で腹腔内投与した。再還流後経時的に 梗塞量、脳水分量と合わせて酸化ストレス、炎症、及び自然死細胞数(apoptosisi)も測定した。その結果、水素生理食塩水群では再還流後0、3、6時間後に投与すると有意に梗塞量、浮腫量が減少し、神経機能も改善した。水素生理食塩水群の虚血脳では酸化ストレス産物の8-OHdG, malondialdehyde、さらにIL-β、TNF-α,も減少しapoptosisiに関連する酵素のcaspase-3も低下した。水素含有生理食塩水は虚血再還流後6時間以内に腹腔内投与すれば脳神経保護作用を発揮する事が明らかになった。

『水素は外科手術に起因する脳障害に対して神経保護作用』

〔学術雑誌名〕Medical Gas Res., 2011, 1:7 doi:10.1186/2045-9912-1-7
〔表題〕Hydrogen is Neuroprotective against Surgically Induced Brain Injuly(水素は脳外科手術でおこる正常神経の障害を防護する)
〔著者〕J.M.Eckermann et al(Loma Linda 大、米国)
〔概要〕神経外科手術では手術による酸化ストレスに加えて健常な脳組織を傷つける事が起こり脳浮腫の原因となる。本研究では外科手術脳障害モデルラット(SBI)を用いて分子状水素(H2)の脳神経保護作用を検討した。成獣雄性SDラット(SBI)に対してH22.9%処理と無処理群に分けて比較した。処理24時間後に脳水分含有量、myeroperoxidase(MPO)測定、lipid peroxidase(LPO)及び神経機能を評価した。その結果、SBIは手術に並行して局所に浮腫ができたが、水素処理群では有意に浮腫形成が抑制され神経行動スコアも改善された。しかしながら、酸化ストレスの指標のLPOと炎症の指標のMPOは減少しなかった。水素は臨床的にも廉価で有用な処法であり脳手術による浮腫を抑制することが期待され、入院日数の低減にも寄与する事が示唆された。

『水素豊富水は神経障害を防止』

〔学術雑誌名〕Neurochem . Res.(2010)35:1111-1118
〔表題〕Hydrogen-rich saline protects against spinal cord injury in rats(水素豊富生理食塩水は脊髄障害を防止する)
〔著者〕C. Chen et al,(上海軍事大他)
〔概要〕Sprague-Dowley系雄性ラットの脊髄に加重打撲を与えて急性神経障害を発症させた。このラットに障害直後、24時間後、及び48時間後に水素豊富生理食塩水を腹腔内注射した。障害後72時間後に殺戮して、アポトーシス細胞死、酸化ストレス、脳由来の神経因子(BDNF)レベルを調べた。加えて運動機能も評価した。その結果、評価した全ての項目において水素豊富生理食塩水による改善効果が認められた。これらの結果から、水素水は脊髄の急性打撲障害に対する防止効果があることがラットの障害モデル試験において確認された。

『水素豊富水は外傷性の脳障害の認知機能を防護する』

〔学術雑誌名〕Brain Res. Bull., 2012 Sep 1; 88(6): 560-5
〔表題〕Hydrogen -rich saline protects against oxidative damage and cognitive deficits after mild traumatic brain injury(水素豊富水は軽度の外傷性脳傷害後の酸化障害と認知欠損を防護する)
〔著者〕Hau Z. et al.(Beijing Neur. Inst., Capital Medical Univ.)
〔概要〕酸化ストレスは外傷性脳傷害(TBI)で惹起される長期にわたる神経不全や再形成の主要な要因である。抗酸化剤は酸化的障害から脳を守り、シナプス機能不全や認知障害から脳の回復機能を助成する作用があることは重要である。しかしながら、水素豊富生理食塩水がTBI後の認知機能に対する効果に関する研究はこれまではなかった。本研究では、体液衝撃傷害(FPI)を施したラットを用いて水素豊富生理食塩水の防御効果を検討した。その結果水素豊富生理食塩水は酸化ストレスによって生じるmalondialdehyde(MDA)レベルを軽減し、silent information regulator 2(Sir 2)レベルを上昇させた。さらに、水素豊富生理食塩水投与によって脳の神経増殖因子によって回復するシナプスの可塑性を上げ、さらにモリス水迷路法による認知機能障害試験においても認知機能が改善した。これらの結果は、水素豊富生理食塩水はラットの軽度のTBIにおいて脳神経シナプスの可塑性や認知機能を防御することが明らかになり、ヒトの臨床においても有用な手段になりうることを示唆している。










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